8月13日、徳島でLIBRA records主催の32名のMC's battle(フリースタイル)が開催された。松山を出て、俺はついに本物のHIP-hopに遭遇することができた。このBattleは、文句のつけようが無いくらい良かった。(off the chain)。真のHIP-hopって言うのは、卑しく、汗臭くて汚い。ニューヨークで本場のHIP-hopが何かと知っているやつが徳島のUNDERGROUNDクラブに行ったとする。 そいつは、うっかりアメリカに瞬間移動したかと思うだろうね。
”8mile”という映画を観たことがあるかな?この日の夜は、 まるでその映画の中に紛れ込んだかのようだった。俺は、日本人が真のHIP-hopとは何かつかめていないように考えていた。松山のHIP-hopは、服を着て、ただかっこよく見せようと しているに過ぎない人が多い。つまり、音楽を楽しむとか創造性に欠けているんじゃないかと思う。俺は、LIBRA recordsが ”8mile”のような本場の雰囲気をUNDERGROUNDに作 り上げてくれたことに、心からお礼が言いたい。UNDERGROUND(実際に地下にある)は、薄暗く、煙が充満していて、暑い。その日の客は300人以上、
暑くない方がおかしいか。フリースタイルの小チームに、Beat boxerがいるのは、ごく自然のことだ。 その場にいた人は、服を着たままプールにダイブしたみたいに、汗でびしょびしょだった。 HIP-hopのファッションショーじゃないけど、誰もがかっこよく際立ってみえた。
HIP-hopのトップを切るのは、才能を持つパフォーマーとそいつを支持する者達だといる。そして、観客はパフォーマーの才能を吸収しようと待ち構えている。 Battleが始まる前に、MSCによるパフォーマンスで観客が沸いた。
彼らの服装はパンクバンドの コスプレというより、ちょうど苦闘を潜り抜けてきた殺し屋のようだった。これこそが、俺の求めていたHIP-hopだ。MSCのラップはメンバーの間をテンポよく流れていった。それと、同時に観客をみて、大胆不敵に顔をしかめて視線を交える。 MSCは、最高のラッパーだけど、一方で殺し屋でもある。俺は、奴らに悩殺された。もし、ハードコアなHIP-hopが好きなら、まずMSCを聞けば、間違いない。
MSCによって、観客が盛り上がりだしたところで、いよいよMC's battle(フリースタイル)が幕を切った。このBattleの司会者は日本で有名なMC TAIKAだ。彼は、Battle前にBeatboxを披露し、Battleに花を添えた。
俺は、Dougie FreshとTAIKAが、だぶって聴こえた。つまり、彼のBeatboxはそれほど、胸にグッときたんだ。そして、Battleへの期待が最高潮に高まった。俺はすっかり、LIBRA recordsの思惑にはめられたようだ(笑)
32名のMCがガチンコで戦った。舌を巻く程うまいやつもいれば、 話にならないやつもいた。
順番はじゃんけんで決める。その後、イントロを少し聞いてから歌いだす。第一回戦、ほとんどのラッパーがハイレベルな試合を繰り広げた。しかし、未熟なラッパーが2名いてまったく声がでていなかった。そういえば、全身ド派手 な服を着た男がいて、俺はてっきりこの後
ゲイパレードに参加するんだと思ったよ。しかも、その男の声は、思春期が来てない かと思うくらい弱々しくて聞き取れなかった。このラッパーの後は、気分がかなり下がった。彼のことはともかくとして、このBattle参加者はよくも悪くも本物のHIP-hopを楽しんでいたと思う。このBattleの勝敗は、TAIKAと観客の指示をあわせて判定される。観客の指示は偽りが無くシビアだ。
俺がアメリカと違って観客がいいと思ったのは、つまらないラッパーの時は静まりかえるという点だ。でも、負けっぷりはアメリカのほうがいいと思う。なぜそう思ったかというと、アメリカでは、下手な奴はやじられて、ステージを
下ろされるからだ。つまり、上手い奴しかステージに残ることができない。加えて、敗者は観客に負けた敬意をしるして、追い出される。そしたら、今度来る時は、丈夫になって戻って来るだろ(笑) 第一回戦を終えて、16名の勝者が残った。ここで、休憩が入り、観客は外に出た。出場者は、次の準備にかかった。もし、その場に残っていたら、出場者の緊張をじかに感じることができただろう。観客がリフレッシュして戻って来ると、第二回戦が穏やかに幕を開けた。ただ、皆期待を裏切る逆転劇を望んでいた。俺が思うに、Top4までは、もうすでに皆の頭の中にあったんじゃないかな。その時、俺はTop3まで考えを絞っていた。最後に残った4人は、いずれずれも非凡な才能に溢れていた。従って、勝負がつくまで、Battleは続けられた。つまり、どのBattleも勝者を決めるのは非常に難しかったのだ。彼らは力の限りを出し尽くし、素晴しい戦いを見せた。
Top4の決定によってセミファイナルが始まった。第1ラウンドは、PONY vs TSUBOI。
このBattleは、桁外れな戦いとなった。2人の性質は全く異なる。PONYのラップは、口調がはっきりしていて、楽しく面白い。一方、TUBOIはサーファーのような格好をしていて夜とは無関係のように見えた。それに、ラップで相手を皮肉るもののルールに反して、観客のことも捩っていた。TUBOIは対戦者の番の時
は見るからに退屈そうにしていた。俺が見ただけでも、数回はあくびをしていた。しかし、彼は、やぶへびのようにただ身を潜めていただけだった。無気力そうにみせているだけで、詞は、素晴しいものだった。
TUBOIのねらいはPONYを自分のペースに乗せることだった。これが、PONYに効いたのは、明らかでBattleは少し延長戦となった。TUBOIの洞察力の賜物である。しかし、PONYもかなりの奮闘をみせた。結果はPONYの負けとなったが、彼
にはBattleを勝ち抜く実力があると思う 。これで、気を落とすことなく次回に繋げて欲しい。
続いて、第2ラウンドは”79(NAKKU)” vs MC SSENSE。このBattleもまた、一戦交えるだけでは留まらず、いき活きとした展開を見せた。MC SSENSEの性質はストリートHIP-hopに根差している。
彼の詞は抑圧された心が流れ出てくるかのようだった。彼の勢いなら、1時間でも余裕で歌い続けることができたんじゃないかな。
彼には、対戦相手を苛立たせるような雰囲気はなかった。俺には彼がただ叫びたいだけに見えた。しかし”79”は全力を尽くした。彼は気取ることなく、声や格好はHIP-hopとはかけ離れたものだった。ただし、詞や機転はピカイチだった。この時、俺は”79”が勝利することは無いと考えていた。
ところが予想に反し、延長戦でMC SSENSEがミスをして、”79”が決勝戦へとこまを進めた。
俺の中で、MC SSENSEとPONYはアマチュアの中では誰にも引けを取らないと思う。
そしてTUBOIと”79”はプロでも通用するレベルを持っていると思う。 決勝戦は両者共に不足なかった。2人のBattleは3回戦でも決着がつかなかった。序盤は両者とも体栽を繕っていたが、本格的に戦い始めると焦りの色が見えた。終盤は、皆疲れがピークに達していた。勝者は観客と出場者によって決められる。Battleの間にTUTBOIと”79”のどこにこ
んなにもパワーが隠されているのかと不思議に思っていた。ただ分っているのは、心を燃え立たせる詞を奴らが発振しているということだけだ。
Battle優勝は” 79”に送られた。俺は、TUBOIが”79”に負けるとは想定していなかった。強いて言うなら、TUBOIの敗因はBattleが長引いたことと”79”の地元であったためだと考えられる。とは言っても”79”が優勝者にふさわしいことには変わりない。
決勝戦を終えて、”79”とTUT BOIは 握手を交わした。
そして、”79”は賞金5万円を手に入れた。観客はUNDERGROUNDを出 て、 早朝の冷たい空気を 感じ目を細めながら家路に着いた。俺は、。Battleを堪能した余韻を噛み締めていた。俺らをこれほどにまでに、夢中にさせるイベントを開いてくれたLIBRA recordsにもう一度感謝の言葉を送りたい。素晴しい時間をありがとう。俺はこれから、四国に留まらず日本各地のBattleを見に行くつもりだ。そこで、また。
peace out CASHFLOW
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